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2014年 9月 10日

犬を飼われている方の誰しもが一度は犬とボール遊びされた経験があるかと思います。テレビコマーシャルにも、公園で犬と楽しくボール遊びしている映像が流れ、そんな風景を想い描きながら犬を飼われた方も少なくないかと思います。

ボール遊びは多くの犬達が大好きです。子犬からシニア犬までボールを見せただけでワクワク!ソワソワ!キラキラした眼差しで見つめられるとついつい投げずにはいられなくなります(笑)

投げられたボールは動く獲物として犬達の狩猟本能を刺激します。ボール遊びに夢中な犬達は素早い身のこなしで瞬時にボールを追いかけ、教えてもいないのに弾むボールを絶妙なタイミングでランニングキャッチします。

その昔、子供たちの野球チームのコーチをしていた時に私のパートナードッグ(サンちゃん)にノックしたことがあります。プロ野球選手並みの守備範囲の広さで見事にゴロをキャッチして子供たちの喝采をあびていました。

 

投げたボールを全速力で追いかけ、咥えると同時に一目散に持って帰ってくる。素早く飼い主にボールを渡し、「さあ!もう一度ボールを投げて!」と期待し、集中して待っている姿は何とも云えず凛々しくさえ感じます!

こういったボール遊びの一連の動作は、犬の持つ本能的な物欲や持来欲を育てながら、ボール遊びを通して人と一緒に作業する楽しさを教える事が出来ます。

服従訓練やドッグスポーツにおいてもボールを使ってトレーニングすることが多く、ボール遊びを通して作業することの楽しさや充実感、達成感を教えます。

 

基本的なドッグトレーニングの一つに「ボールタグ」を使ったトレーニングがあります。ボールタグを使って犬の持つ本能的な「物欲」や「持来欲」を高めながらハンドラーと一緒に作業することの楽しさを教えることで”作業欲”を引き出すトレーニングです。

 

ボールタグはテニスボールや野球のボールに引っ張るための紐(ハンドル)が付いたおもちゃです。

ハンドル部分はフリース生地やバンジータイプのナイロン生地のものがありますが、よく見かけるのはナイロン製のロープにボールを取り付けることで女性でも遠くに飛ばせるように工夫されたボールタグです。

ボール自体は柔らかく事故(間違って人や物にあたって怪我したり、壊したりする事)の少ないテニスボールを取り付けてあるものが多いのですが、噛みの強い犬やより遠くへ投げるために硬いゴム製のボールを取り付けてあるものもあります。

 

130-BTBS  130-FFMTB  SqueakyFurBallTag-130  130-tmasters

 

ボールタグの遊び方を簡単に紹介します。

 

ステップ1:

犬は最初から投げたボールを追いかけ、咥えて持ってくることができる訳ではありません。最初はボール自体に興味を持ってもらう必要があります。ハンドルを手に持ってボールを動かしながら犬を遊びに誘ってください。

動くボールに興味を示し、追いかけたり、噛んだり、引っ張ったりしたら声をかけてください。「持って!」や「取って!」と云ったコマンド(命令)でなくても構いません。「そう!そう!」とか「すごい!すごい!」と明るく盛り上げるように声をかけてください。

 

ステップ2:

手元のボールタグを追いかけたり、咥えたり、引っ張ったり出来るようになったらボールタグを近い場所に投げてください。投げたボールを追いかけ、咥えたらすかさずハンドルを握って引っ張り遊びをします。追いかけ始めから引っ張り遊びまで終始明るく声をかけて盛り上げます。

最初からボールが弾むように高い位置から投げないでください。最初は犬の目線より下の位置でボールを転がしてください。

引っ張り遊びする際には、力まかせに引っ張ることなく最初は軽く引っ張ります。犬が引っ張り返すことができるようにすることが大事です。遊びを理解するまでは引っ張り返したら最後は犬にボールを譲ってあげてください。

ボールを追いかけて咥えてどこかに持ち去ろうとする場合には、ハンドルにさらに長い紐をつけてその紐を手に持っていてください。ボールを咥えたら紐を手繰り寄せながら引っ張り遊びをしてください。

 

ステップ3:

ボールタグでの引っ張り遊びが理解できたら、徐々にボールを遠くに投げてください。ボールを追いかけて咥えたら「おいで!」やワンちゃんの名前で呼び戻します。犬が戻ってきたらハンドルを持って引っ張り遊びしてあげてください。引っ張り遊びすることで、ボールを持って帰ったら楽しい遊びがあることを教えます。

引っ張り遊びした後は冷静にボールを出させます。こちらが引っ張り返すことを止めることで咥えたボールを離す事を促します。同時に静かに落ち着いた声で「出して!」、「ちょうだい!」と声をかけます。犬が咥えたボールを離したらクリッカーを打ったり、大きな声で良く褒めてあげてください。

引っ張り遊びが大好きでなかなかボールを出さないからと、大きな声で怒鳴る様に「ダセ!」と命じたり、力任せにボールを奪い取らないように注意してください。そうすることでボール遊びがつまらない遊びと理解したり、ボールの奪い合いのパワーゲームだと理解されないように注意してください。

参照:「第3話 気持ち良く出す!」

 

トレーニングポイント:

ボールの大きさや素材は犬の好みに併せてください。最初は柔らかめのテニスボール素材が良いと思います。噛みの強い犬の場合、柔らかいテニスボールを壊してしまう場合がありますが、硬いゴム製のボールは耐久性は優れていますが、犬歯を摩耗する場合もあるので注意してください。

ボールには”ピーピー”と音の出るボールもあります。ボール自体に興味が薄い場合やボール遊びに誘うには音の出るボールは有効です。しかし、ボールを噛むことで音が出る事を知るとボールを出したがらないワンちゃんも多いようです(苦笑)

最初は犬が落ち着ける環境(自宅や室内)でトレーニングしてください。最初から公園やドッグランなど、誘惑の多い環境ではトレーニングしないでください。

屋外でボール遊びする場合には足場や周りにに注意してください。硬い地面で高くバウンドしたボールをジャンプキャッチして怪我したり、藪の中に入ったボールを追いかけて怪我をする恐れがありますので、十分に注意してください。

1回のトレーニングは5分程度の短い時間で集中して行います。お互いに「もう少し遊びたい」と思える時間で止めることが次への意欲につながります。

一緒に楽しみならトレーニングしてください。声をかけたり、焦らしたりしながら互いに楽しくプレイすることが重要です!

 

ボール遊びを教える際に、最初から紐なしの普通のテニスボールで教える方もいらっしゃいます。犬によってはボールを追いかけて上手に咥えて持って戻ってくるワンちゃんもいますが、多くはそのまま咥えて噛んで遊んだり、飼い主さんが取りに来るのをじっと待つワンちゃんが多いようです。ボールを咥えて戻って来る楽しさを教えるためにも紐付きのボールタグで引っ張り遊び(タグプレイ)する楽しさを是非とも教えてください。ボールタグでのボール遊びできるようになれば、紐なしのボールでもちゃんと咥えて戻って来ます!

 

ボールタグを使った遊びは、犬の持つ本能的な物欲や持来欲を育てながら、ボール遊びを通して人と一緒に作業する楽しさを教える事が出来るトレーニングです。ぜひ一度お試しください!

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